上海

エリアガイド · 上海

🇨🇳 上海

本帮の甘い醤油味、朝の点心、水郷の一皿。目抜き通り・旧市街・近郊の水郷——性格の違う3ルートで、上海の食の幅をひと通り歩く。

🚇 上海市内・地下鉄でアクセス🍽 3ルート・24皿

上海の食の重なり

上海の食は、いくつもの層が重なってできています。芯にあるのは「本帮菜(ほんばんさい)」——地元の家庭料理・食堂料理のことで、その味の骨格は「濃油赤醤(のうゆせきしょう)」、つまり醤油と砂糖をたっぷり使い、色濃く甘辛く煮上げるやり方です。とろとろに煮た紅焼肉、揚げた鱸に甘酢あんをかけた松鼠鱸魚がその代表格。けれど上海の食は本帮菜だけではありません。開港と租界の時代に、寧波・蘇州・広東など各地から人が流れ込み、それぞれの故郷の味を持ち込みました。寧波の湯圓、蘇州の点心、広東の焼き物——それらが上海の口に合うように少しずつ甘く濃く調整され、根づいていった。さらに西洋租界からは、蝴蝶酥のような洋菓子まで入ってきます。だから上海の一皿は、甘い・濃い・小さい。ひとつの量は控えめでも、種類がとにかく多い。だからこそ、少しずつ、何軒も渡り歩くのが、この街の正しい食べ方になります。

三つの顔

このサイトの上海は、性格の違う三つのルートに分けてあります。まず南京路——人民広場から外灘へ東西にのびる、上海随一の目抜き通りです。蝴蝶酥・生煎・条頭糕・鮮肉月餅といった老舗の点心が歩行街に並び、突き当たりの外灘まで出れば、桂花紅焼肉や松鼠鱸魚といった本格の本帮料理まで一本で味わえます。次に豫園・老城廂——かつて城壁にぐるりと囲まれていた、上海でいちばん古い一角。明代の名園・豫園の外側に広がる豫園商城には、南翔饅頭店の小籠包、湖心亭の茶、緑波廊の点心など、旧市街の小吃が九曲橋のまわりにぎゅっと集まっています。そして七宝——都心から地下鉄で30分ほどの、江南の水郷古鎮。運河沿いの石畳に、七宝方糕や白切羊肉、拆烩鰱魚頭といった素朴で地元らしい一皿が続きます。都会の目抜き通り、旧市街、近郊の水郷。この三つを合わせると、上海の食の幅がひと通り見えてきます。

「本帮」を読み解く小さな言葉

上海の食を歩くと、いくつかの言葉が繰り返し出てきます。「本帮(ほんばん)」は上海の地元流という意味で、蘇州・無錫・寧波などの流派(幇)が混ざり合って上海風に落ち着いたもの。「濃油赤醤(のうゆせきしょう)」はその調理の合言葉で、油と醤油を惜しまず、赤みを帯びるまで甘辛く煮るやり方です。「小吃(シャオチー)」は軽食・おやつの総称。似て見える点心も、生煎(底をカリッと焼いた肉まん)と小籠(薄い皮でスープを包んだもの)は別物で、そこに蟹粉(蟹の身と味噌)が入ると一段格が上がります。この四つ——本帮・濃油赤醤・小吃・蟹粉——を覚えておくだけで、メニューの見え方が変わります。

半日か、一日か(回り方)

三つのルートは、体力と時間に合わせて選べます。半日なら、どれかひとつを選ぶのがおすすめ。南京路と豫園は地下鉄で数駅と近く、健脚なら一日で両方をつなげられます(南京路で老舗の点心、豫園で小吃と茶)。七宝は少し離れているので、午前に七宝を回って昼過ぎに市街へ戻る、といった半日単位の組み方が向いています。いずれのルートも起点は地下鉄駅で、駅から徒歩圏に一皿が並ぶよう順路を作ってあります。朝いちばんに歩き出せば、行列を避けつつ、昼をまたいで二つのルートを味わうこともできます。

季節で変わる一皿

上海で強く季節が出るのが、蟹と香りです。秋——おおむね10月から12月——は蟹の季節で、とりわけ大閘蟹(上海蟹)の身と味噌が濃くなり、蟹粉小籠や蟹黄麺、蟹殻黄など、蟹を使った一皿がいちばん旨くなります。同じ秋には金木犀(桂花)が街じゅうに香り、条頭糕や紅焼肉、湯圓にその香りを忍ばせる。冬になると、七宝の白切羊肉のように、体を温める羊肉の一皿が前に出てきます。春から夏にかけては、青団(草餅)や冷たい甜品が季節のもの。つまり同じルートでも、行く時期によって主役の一皿が入れ替わります。狙う季節が決まっているなら、その時期の名物を軸に組むと、旅の満足度がぐっと上がります。

上海で食べるコツ

点心の老舗は朝がいちばん元気で、蝴蝶酥や鮮肉月餅のような看板は、平日でも昼過ぎには売り切れることが少なくありません。狙いは午前中です。人気店は行列が前提なので、開店直後を狙うか、時間をずらすのが賢いやり方。支払いは電子決済(スマホのQRコード)が主流ですが、小さな老舗や屋台では現金しか使えない店も残っているので、少額の現金を持っておくと安心です。そして何より、一皿の量は小さめに作られています。一軒で満腹にせず、二人以上で分け合いながら、少しずつ、いくつもの店を回る——そのつもりで、腹を空けて臨んでください。

これから広がります

いまの上海は、南京路・豫園・七宝の三ルートから始めています。上海は路地をひとつ入るたびに違う一皿に出会える街なので、これから虹口の朝食街、田子坊、街場の小さな食堂など、ルートは少しずつ増やしていく予定です。まずはこの三つで、都会と旧市街と水郷、それぞれの「上海の一皿」を実際に歩いてみてください。店名とセットで覚えておけば、次に来たときも必ずたどり着けます。

このエリアのルート

南京路ルート

人民広場 → 南京東路歩行街 → 外灘(西から東へ) · 徒歩 180分 · ルート紹介を読む →

豫園・老城廂 小吃ルート

方浜中路 → 豫園商城 → 九曲橋(老城廂を一周) · 徒歩 90分 · ルート紹介を読む →

七宝老街 水郷ルート

地下鉄9号線 七宝駅 → 南大街(川沿いの石畳・小吃街) · 徒歩 100分 · ルート紹介を読む →

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