上海 · 老城廂ルート
豫園・老城廂 小吃ルート
上海がはじまった街で、いちばん密度の高い食べ歩きを。九曲橋を渡り、湖心亭で茶を飲み、南翔饅頭店の小籠包から緑波廊の点心まで——旧市街の小吃を、店名とセットで一皿ずつ辿る。
豫園とはどんな場所か
豫園は、明の時代(1559年ごろ着工、およそ20年をかけて1577年頃に完成)に、役人だった潘允端(はん・いんたん)が父・潘恩の余生を慰めるために造った私庭です。「豫」は「愉(たのしむ)」「安泰」に通じ、親孝行の庭という意味が込められています。およそ2万平方メートルの敷地に築山と池、回廊をめぐらせ、江南三名石のひとつと称される太湖石「玉玲瓏」を据えて、狭い土地の中に山水の景色を凝縮した——江南式庭園を代表する名園です。清の時代に一度荒れ、太平天国の動乱などを経て、幾度も修復されながら今日まで守られてきました。庭園そのものは有料区域ですが、その外に広がる商業区「豫園商城」と、道を挟んだ城隍廟の一帯こそが、この食べ歩きの舞台になります。
老城廂——上海がはじまった街
豫園を囲む一帯は「老城廂(ろうじょうしょう)」と呼ばれ、かつて城壁にぐるりと囲まれていた、上海という都市のいちばん古い核です。租界の高層ビルが建つよりずっと前から、ここには人が住み、商いがあり、廟があった。だから食べ物も、観光のためだけに作られたものではなく、昔からの上海の暮らしがそのまま残っています。豫園商城は明清様式の瓦屋根が連なる区画で、その軒下に、小籠包・湯圓・素菜包・五香豆・梨膏糖といった「小吃(シャオチー=軽食)」の老舗が並びます。一皿の量が小さいぶん、少しずつ、いくつもの店を渡り歩ける。それがこの街の醍醐味です。
このルートの歩き方
起点は地下鉄10号線の豫園駅。方浜中路に出て、豫園商城へ向かって東へ歩きます。まずは五香豆や梨膏糖といった、城隍廟の門前で昔から売られてきた乾き物や飴で口を慣らし、商城の中心に入ったら南翔饅頭店の小籠包へ。ここは行列の名店なので、早い時間ほど有利です。池のほとりまで来たら、九曲橋を渡って湖心亭へ。橋は九つに折れ曲がっており、「まっすぐ進めない=魔がついてこられない」という言い伝えがあります。茶で一息ついたら、寧波湯団店の黒胡麻湯圓や春風松月楼の素菜包で甘さと塩気を挟み、最後は緑波廊に腰を下ろして点心を。全体で徒歩90分ほど、立ち食いと着席をうまく混ぜるのがコツです。
食べ歩きの見どころ
このルートの主役は、池の中央に浮かぶ木造の茶楼・湖心亭です。上海に現存する最古級の茶館で、二階に上がれば窓の外は一面の荷花池と豫園の甍(いらか)。蓋碗茶(ふたつき碗の茶)をすすりながら、九曲橋を行き交う人を眺める時間そのものが名物です。食では、1900年創業とされる南翔饅頭店の蟹粉小籠が外せません。薄い皮を少し破って熱いスープを吸ってから食べるのが作法。もう一軒、緑波廊は国賓の接待にも使われてきた上海料理の名店で、眉の形に閉じた揚げ点心「眉毛酥」など、屋台とはまた違うきちんとした点心を味わえます。肉を使わない春風松月楼の精進包子と合わせれば、甘い・塩辛い・精進と、上海の小吃の幅がひと通り見えてきます。
訪れる前に
週末や祝日、とりわけ春節前後の「豫園灯会(ランタン祭り)」の時期は非常に混み合います。ゆっくり食べたいなら、開店直後の午前中が狙い目です。支払いは電子決済が主流ですが、小さな老舗では現金が要る場面もあります。老舗は臨時休業や営業時間の変動があるため、各店の時間はあくまで目安として、現地で確かめてから向かってください。
ルートマップ
方浜中路 → 豫園商城 → 九曲橋(老城廂を一周) · 番号は下の一皿と対応
このルートの一皿(7)
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