エリアガイド · ペナン
🇲🇾 ペナン
ペナンの食は、華人・マレー・インドの台所が一つの島で隣り合って生まれた。ジョージタウン世界遺産地区の華人ホーカー、ガーニー・ドライブと新関仔角の夜の屋台、リトルインディアの香辛料。三つの街区は、同じ島の食を異なる角度から見せる。炭と醤油、酸と甘、香辛料のあいだを歩く旅だ。
ペナンの食
ペナンの食を貫くのは、三つの民族の台所が一つの島で隣り合ってきた歴史だ。かつて自由貿易港として栄えたこの島に、中国南部の潮州・福建・広東の移民、マレー半島の人々、そして南インドの人々が集まり、それぞれの作りを持ち寄った。だから同じ屋台街に、炭火の炒粿條と、椰子で炊いたナシ・レマと、カレーをかけるナシ・カンダールが並ぶ。味の骨格は、華人の醤油と鑊気、マレーの椰子と辣椒(サンバル)、インドの香辛料。そこに、この島ならではの黒く甘い蝦膏(蝦醤)と、魚と酸で作る亞參叻沙が加わる。辛さ・酸味・甘さ・香ばしさが一皿ごとに強く出るが、互いに混じり合い、どこにもない食の風景を作った。屋台の一皿ごとに、移民の手仕事の痕跡が残っている。
三つのエリアから始める
この島の食は、性格の異なる三つの街区から入るとわかりやすい。ジョージタウン世界遺産地区は華人ホーカーの中心で、チュリア・キンバリー・キャンベル・新街の路地に、炒粿條、雲呑麺、豬腸粉、粿條湯、鴨肉粿汁、煎蕊が集まる。粿條と麺、炭と鑊気の一帯だ。ガーニー・ドライブと新関仔角(ニュー・レーン)は、海沿いと内陸の夜の屋台街。福建蝦麺、亞參叻沙、囉喏、蠔煎、サテー、氷菓が、日暮れとともに一箇所に並ぶ。島の名物を一度に味わう場所だ。リトルインディアは、市場通りやトランスファー・ロード周辺の香辛料の街。ナシ・カンダール、ロティ・チャナイ、テ・タレ、ムルタバ、そしてマレー系のナシ・レマまで、インド系とマムの台所が終日供する。華人の昼、屋台の夜、香辛料の一日。三つを歩けば、ペナンの食の幅がひととおり見えてくる。
ペナンの食の読み方
ペナンの一皿を読むには、火と、蝦膏(蝦醤)と、香辛料の三点を見るとよい。火は華人街の要で、炒粿條の鑊気や炭の焦げが一皿の善し悪しを決める。蝦膏はこの島に独特の調味で、豬腸粉の甘いたれ、囉喏の和えだれ、亞參叻沙の仕上げに黒く効き、匂いは強いが後味は丸い。香辛料はマムの台所の語彙で、ナシ・カンダールの重なるカレー、ロティ・チャナイに添うダール、サテーの落花生だれに現れる。同じ島でも、華人は醤油と炭、マレーは椰子と辣椒、インドは香辛料と、味付けの言葉が異なる。だが辛さと甘さ、酸味と香ばしさは三者に共通し、蝦膏や辣椒醤(サンバル)が橋を架ける。一皿を食べたら、その要素が隣の民族の台所でどう変奏されているかを探すと、島全体の食が一本の線でつながって見えてくる。
訪れる前に
支払いは現金が確実だ。カードやコード決済が使える店も増えているが、屋台や夜市は現金のみの所が多いので、小額の紙幣や小銭を用意しておきたい。共通語は英語で、店名や品書きも英語やマレー語表記が多く、旅行者には回りやすい。ただし料理名は現地の呼び名(炒粿條、亞參叻沙、ロティ・チャナイなど)で覚えておくと注文が楽になる。辛さは店で加減を頼めることが多く、苦手なら控えめにと伝えるとよい。蝦膏(蝦醤)の匂いが強い一皿は、抜いてもらえる店もある。ハラルの店は豚を使わず、菜食に対応する店もあるので、看板や店員に確かめたい。ペナンは一年じゅう蒸し暑くスコールも多いので、水分と折りたたみ傘を。世界遺産地区は徒歩、ガーニー方面はバスや配車で。本文中の価格や営業時間は目安で、実食未確認の情報を含む。最後は現地で確かめてほしい。
このエリアのルート
ジョージタウン世界遺産ルート
チュリア通り → キンバリー通り → キャンベル通り → 新街(華人ホーカーの核) · 徒歩 120分 · ルート紹介を読む →
ガーニー・ドライブ&新関仔角ルート
ガーニー・ドライブ → マカリスター路 → 新関仔角(夜のホーカー) · 徒歩 110分 · ルート紹介を読む →
リトルインディアルート
市場通り → トランスファー・ロード → チョウラスタ市場(マム&インドの一皿) · 徒歩 100分 · ルート紹介を読む →