エリアガイド · チェンマイ
🇹🇭 チェンマイ
タイ北部、山に囲まれたランナー王国の古都チェンマイ。バンコクの尖った辛さとは違い、レモングラスや発酵の香り、ビルマやシャンの流れが溶け込んだ独自の食がある。カレー麺のカオソーイ、炭火のサイウア、青唐辛子のナムプリック——旧市街、市場、カフェの三つの顔から、山の街の味を店ごとに辿る。
チェンマイの食
チェンマイは、13世紀末から500年以上続いたランナー王国の都で、その食はタイ中部とは大きく違います。鍵になるのは、山の気候と、周囲との交わりです。標高が高く涼しいため、ハーブや野菜が豊かで、料理にはレモングラスやコブミカン、ディルのような香草がよく効きます。味の芯は、唐辛子の辛さよりも、発酵食品の深みと香りにあります。エビや魚を発酵させた調味料、納豆に似たトゥアナオ、そして手で丸めて食べるもち米が食卓の中心です。さらに、隣り合うビルマやシャン、雲南の影響が濃く、甘い豚煮込みのハンレーや、シャン由来のナムンギァオといった料理に、その交わりの跡が残っています。尖った刺激ではなく、じんわりと重なる滋味が、この街の味の性格です。
三つのエリアから始める
このサイトのチェンマイは、性格の違う三つのエリアから始めています。ひとつ目は堀に囲まれた旧市街。ランナー王国の中心で、寺のあいだの通りにカオソーイの名店や北タイ料理の老舗が点在し、北の味の入門にちょうどよい場所です。ふたつ目はピン川の西に広がるワロロット市場(カードルアン)。華人が築いた商いの街で、量り売りのサイウアやナムプリック、屋台の米麺、北タイ菓子が所狭しと並ぶ、地元の台所です。三つ目は大学に近い新市街ニマンヘミン。自家焙煎のコーヒー、涼しい内装のカオソーイやモダンな北タイ料理、盛り付けたデザートが集まり、伝統が今の器に移される場所です。旧市街で芯に触れ、市場で日常を歩き、ニマンで現代を確かめる——三つを順にたどると、チェンマイの食が立体的に見えてきます。
チェンマイの食の読み方
北タイ料理を味わうには、いくつかの手がかりがあります。まず、もち米(カオニャオ)が主食であること。竹の器で蒸されたもち米を、小さく手でちぎって丸め、ナムプリックやおかずをつまんで食べます。次に、一皿を主役にするのではなく、数品を分けて食べる構成。ナムプリックのような辛味噌を軸に、揚げ豚皮、ソーセージ、野菜、スープを少しずつ囲みます。味の系統も知っておくと役立ちます。カオソーイやハンレーはビルマ由来のカレー系、ナムンギァオはシャン由来のトマト系、ナムプリックやサイウアはランナー土着の味。同じ「北タイ料理」でも、山の向こうから来た料理と、この土地で育った料理が混在しています。辛さは中部より穏やかなことが多いものの、青唐辛子のナムプリックノームのように鋭いものもあるので、頼むときに確かめると安心です。
訪れる前に
実務的なことを少し。支払いは屋台や市場では現金(タイバーツ)が基本で、小額紙幣を用意しておくと楽です。ニマンのカフェやレストランはカードが使える店も増えていますが、過信は禁物。市内の移動は、決まった路線を走る赤いソンテウ(乗合トラック)が安く、行き先を告げて乗ります。配車アプリのグラブも普及しています。時間帯は料理によって偏りがあり、カオソーイの名店は昼で閉まり、市場は朝が本番、デザートやカフェは午後から夜が中心です。辛さは「マイペット(辛くしないで)」「ペットニットノイ(少しだけ辛く)」と伝えれば調整してもらえます。乾季(11〜2月)は涼しく歩きやすく、3〜4月は暑く煙害(焼き畑)の時期、雨季は午後にスコールが来ます。無理をせず、冷たい飲み物と日陰をこまめに挟みながら歩くのがちょうどよい距離感です。
このエリアのルート
旧市街ルート
ターペー門 → ワット・チェディルアン → ラチャマンカ通り → ワット・プラシン(歩く順) · 徒歩 110分 · ルート紹介を読む →
ワロロット市場ルート
チャンモイ通り → ワロロット市場 → プンタオゴン廟 → ピン川(歩く順) · 徒歩 90分 · ルート紹介を読む →
ニマンヘミンルート
マヤ・モール → ニマンヘミン通り → ソイ11 → ワン・ニマン(歩く順) · 徒歩 100分 · ルート紹介を読む →