ハノイ · ドンスアン市場ルート
ドンスアン市場ルート
旧市街の北端、ハノイ最大の卸売市場ドンスアンを中心に、朝の食が渦を巻く。蟹の酸味のブンリエウ、田螺のブンオック、鶏のフォー、緑豆のおこわ、色とりどりのチェー。露店の低い椅子に腰かけ、市場の喧騒を背に一杯ずつ。ロンビエン橋のたもとまで、庶民の胃袋を歩く道だ。
市場の胃袋
ドンスアン市場は、フランス統治期に建てられたハノイ最大の屋内市場で、卸と小売の荷が今も朝から動く。その周りに、働く人と買い物客の胃を満たす屋台が集まっている。ここの食は、観光のためというより、日々の労働のための朝食だ。だから安く、量があり、手早い。蟹をすりつぶしたブンリエウ、湖の田螺を使ったブンオック、鶏だしのフォー、片手で握るソイセオ。どれも一杯で腹が落ち着き、また市場の流れに戻れるようにできている。露店は路上に低い椅子を並べ、相席が当たり前だ。荷を運ぶ声と天秤の音のなかで、湯気の立つ一杯に向かう。飾らない、生活の食の現場がここにある。
酸と発酵の朝
市場の朝食に共通するのは、酸味と発酵の香りだ。ブンリエウはトマトと発酵酢で酸を立て、蟹のすり身のうまみと合わせる。ブンオックも同じく酸の効いた汁に、こりこりの田螺を沈める。そこへ客がシュリンプペースト(マムトム)や発酵エビ醤を少し落とし、香りを深める。これらの発酵調味は最初は強く感じるが、酸味とともに麺に絡むと、深いうまみに変わる。甘いチェーやおこわが、その酸の朝を締める役を果たす。慣れないうちは、まず汁だけを味わい、調味は少量から。もやしや香草を自分で沈め、温かい汁と冷たい香草の対比を楽しむ。ハノイの朝は、この酸と香りのなかにある。
このルートの歩き方
旧市街を北へ抜け、ドンスアン市場を目印に歩き始めたい。朝が主役の道なので、できれば午前に動くとよい。まず市場の縁のブンリエウで一杯、蟹の酸味で胃を目覚めさせる。続いてブンオックを軽く、こりこりの田螺で食感を変える。市場の入口ではソイセオを一つ握り、片手で歩きながら緑豆の甘みを味わう。鶏のフォーがあれば、澄んだ汁で口を整えてもいい。市場の中に入れば、チェーの屋台で豆と寒天の冷たい甘味を一杯。締めにハンボー通りの練り物店でジョーチャーを買い、量り売りで切ってもらう。全体で1時間半ほど。昼を過ぎると屋台は徐々に閉まり始めるので、朝のうちに要所を回りたい。市場は人が多く、荷車も通るので、貴重品に気を配りながら流れに乗って歩く。
ルートマップ
ドンスアン市場 → ハンチウ → ハンボー → ロンビエン(歩く順) · 番号は下の一皿と対応
このルートの一皿(6)
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